9月、10月の歴史映画名作選シリーズについてご報告します。9月15日に1973年イタリア、イギリスの制作の”ブラザーサン・シスタームーン“(剣と十字架)を鑑賞し、ローマ教皇とフランク王国、神聖ローマ帝国との確執の歴史を学びました。中世におけるローマ教皇が持つ権威と欧州の王族との武器を伴わない戦いの歴史は、単一国家で、宗教と国家の関係が共存、抗争つづけながら歩んできた日本の歴史とは、全く違った歴史認識であると感じました。そうした時代背景のもと、映画の主人公である聖フランチェスコが、教皇と王族の権威のはざまで真摯な布教活動を描いた印象深い作品でした。
10月20日には1987年イギリス制作の”ミッション“を鑑賞しました。この作品は、1750年代南アメリカにおけるイエズス会(フランシスコ・ザビエルの日本布教や現在、上智大学を経営している)の活躍と悲劇を描いた作品です。アメリカ大陸原住民はコロンブスが、フロリダ半島の南東にある現在のサンサルバドル島を発見して以降スペイン、ポルトガルなどの侵略を受けました。彼らへ布教に努めたイエズス会宣教師の困難を描いた作品です。これらの映画を鑑賞し、昨今の宗教対立に起因する紛争、大国が隣国に侵攻する意義等、人類は同じ過ちを繰り返しているとあらためて感じました。